オールブラックス戦を振り返る
5トライは奪ったもののなぜ大敗したのか。
このオールブラックスに先週オーストラリアと戦った主力メンバーはいない。
しかし、オールブラックスはオールブラックス(以下AB)。
この試合はニュージーランドにとってもテストマッチである。
蓋を開けてみれば、主力がいなくてもさすがAB、選手一人一人のラグビー偏差値が高い。
全員足も早い。
そして他の代表チームと比べて明らかに違うところは、攻守の切り返しの反応が早い。
瞬時にスペースを突いてくる。
メンバー全員がどうすれば攻められるかを瞬時に判断し、
黒い波のように押し寄せる。
このチームに勝つためにはミスをしてはならない。
そしてディフェンスを抜かれてはならない。
ジャパンが最初の組織ディフェンスを破られると、大きくゲインされてしまい、次のディフェンスが薄くなってしまう場面を多く作っていた。
前に出られてからではタックルで止めても部厚いフォローで繋がれてしまい、スピード豊かなABに走られてしまった。
ジャパン一人に対してAB3人では勝ち目はない。
最初の組織ディフェンスでしっかりと止めきらなければならない。
もうひとつはブレイクダウン。
ジャパンの二人目の寄りが遅く、ABのプレッシャーに押され、球だしがワンテンポ遅らせられた(その間でABのディフェンスは整う)。
ボールに絡まれることもしばしばで大事なところでノットリリースザボールの反則。
その結果自陣22mの内側に攻め込まれた。
ジャパンは上背がないため、ラインアウトから攻め込まれて失点。
キックスキルにもABと差が見られた。
ジャパンは相手の裏にでようと、ライン攻撃で度々グラバーキックを蹴ったが、ことごとくボールを相手に渡してしまっていた。
反対にABはアタックでのキックをトライに結び付けていた。
先週の世界選抜戦もそうだが、強豪国と戦う上での最大の課題はディフェンスであろう。
組織ディフェンスは整備されてきた。しかし個々のタックルはインターナショナルレベルからはまだ劣る。
しかもボールを殺すタックルが必要である。
オールブラックスのコールズにとられた最初のトライは明らかにLOヘモポに対する山下のタックルミスが原因であった。
そしてブレイクダウンで遅れを取らないよう、もっと早くサポートに入り、早い球だしを連続し続けること。
ジャパンの武器は素早くボールを展開して、相手のディフェンスを崩していくことである。
後半はこれでいくつかトライが取れている。
良かった点はスクラム。押されぎみではあったがスクラムでABのアドバンテージは作らせなかった。
失点は確かに多すぎたが、ジャパンとしては今持てる力を十分出し切った試合内容であった。
オールブラックスの方がやはり一枚も二枚も上手であったということである。
しかしながら格上の相手と試合をすることでまだ自分たちに足りない部分が見えてくる。
ワールドカップまで残り一年を切ったこれから行うべきことは、
基本的なスキルの向上と、タックルとブレイクダウンを確実なものにするための個々のフィジカルの強化であろう。
ジャパンの場合、“攻撃が最大の防御”が最もよく向いているチームである。
テンポよく攻撃を連続させることがジャパンがベスト8になるための道だ。
(画像引用元:JSPORTS)
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