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カウントダウンタイマー

サンウルブズ7連敗、ジョセフの腹の内は?

サンウルブズは開幕からまだ1勝もできず7連敗。
直近のブルーズ戦をみても次戦で“勝てる”光明はみられない。
組織ディフェンスは明らかに改善されていた。ラインアウトも2mロックのハッティングが入った影響もあり、安定した。この部分については評価できるが、アタックは今までで最もよくなかったように見えた。
それは失点30点以内、取れたトライが1つだけ、という結果にも表れている。
チームとしての“進化”がみられないのは何故なのか?
『ゲームをする』→『課題を修正する』→『次のゲームをする』→『課題を修正する』
この部分は確かに行われていると思う。しかしそれだけではチームは進化しない。
“このチームが目指すラグビー”をメンバー全員で共有し、それを磨いていくことがベースとしてなければならない。おそらくあるのかもしれないが、ファンでそれを語れる人が一体どれだけいるのだろうか?
以前のエディ・ジャパンは『世界一のフィットネス』、『世界一のアタッキングラグビー』をスローガンに掲げ、4年間一貫した強化に取り組んできた。『世界一パスの多いチーム』でもあった。
強化内容も計画的であった。例えば1年目はフィットネス強化(走りこむ):【成果】ルーマニア、グルジアにアウェイで勝利(ヨーロッパで初勝利)、2年目はストレングス強化(体を強く、大きくすること):【成果】ウェールズ戦勝利、3年目は、ボール獲得のためのスクラムとラインアウトの強化:【成果】テストマッチ11連勝など、具体的な短期目標を掲げて結果を出してきた。特にスクラムの進化は目をみはるほど素晴らしかった。
エディのチーム作りは試合の勝敗や点差だけでみてしまうとその強化の実態を見誤まる。W杯のある2015年のアジアラグビーチャンピオンシップ。日本代表の成績は今までと同じ相手に対し圧勝という点差では勝っていない。ここだけをみたファンは“W杯は大丈夫か?”と不安をもったかもしれない。しかし、この大会で、エディ・ジャパンのメンバーはほぼいつも通りの練習をして試合に臨んでいる。対戦する相手には失礼かもしれないが、テストマッチに臨むチームのそれではなく、練習の一環の位置づけでアジアラグビーチャンピオンシップのゲームを戦った。通常のテストマッチに対する準備をして臨んでいたら今までのように大勝したであろう。大勝して当たり前の相手だからこそ、あえて肉体的にきつい状態で試合をさせたのである。また、今年のシックスネーションズでイングランドは5位に沈んだのも、すでに2連勝して感触を掴んだ名将は、配下のコーチ陣を育てるため、今回の大会では彼らにイングランドチームの采配を委ねたからだと聞いている。そうした背景には、なぜオールブラックスがここまで強いのかを分析した結果からだという。彼の目標はただひとつ。2019年W杯でオールブラックスを破って世界一になることだけ。そのためならは必要なことは何でもする。ただするのではなく、それを勝利に繋げるために考え抜いて計画してとり入れている。今シーズンのシックスネーションズの成績はよいものではなかったが、彼は負け惜しみではなく、“いいレッスンだった”と考えていると思う。
かたやジェイミー・ジョセフはナショナルチームを率いた経験は今回が初めてなので試行錯誤はやむを得ない。しかし、スーパーラグビーでの実績は豊富である。ハイランダーズでの優勝経験もある。サンウルブズの強化だけであれば、今とは違った結果を出せていたかもしれない。
いいように考えれば、彼の頭の中には日本代表をW杯で勝たせるための計画があり、サンウルブスのゲームをエディのようにそのための“実験”と位置付けているのであれば、それはそれで意味をもつ。現在並行してニュージーランドに遠征しているNDSのチーム(JAPAN A)もその構想の中にあるのであろう。
今年6月には代表メンバーを固める意図はありそうである。
期待はずれにならないことを期待したい。