スペースがない
近年のラグビーはディフェンス技術の向上より、攻撃側はなかなか相手のスペースを作ることが困難になっている。ブレイクダウンには最小の人数しかかけず、残りのプレーヤーはディフェンスに回るため、グラウンドの横ほぼ一杯に相手ディフェンスがおり、その裏に出ることは容易ではない。体格もバックスも含めて益々大きくなり、1チームのプレーヤの人数を減らすでもしないと走りこむスペースはもう見当たらない。
このため、強いフィジカルで相手のタックルを撥ね退けたり、激しいブレイクダウンで相手ボールを奪う、あるいはノットリリースザボールを誘うなど、フィジカルの強いチームほど有利になる状況にある。おおまかに言うとFWもバックスもガツガツ当たって、穴をこじ開けながら前進するラグビーである。これを防ぐためにディフェンスに人数をかけると外側にスペースが生まれ、そこにロングパスやキックパスでボールをつながれるとトライが生まれる構図がよく目にされている。
フィジカルで劣る日本チームはこれと同じ戦術はとりづらい。早いスピードでボールを回して相手を振り切るか、キックを効果的に使って相手ディフェンスの裏に出る戦術が柱となる。しかし近年の強豪チームはどこもスピーディになってきており、日本チームの得意としてきたスピードのアドバンテージは小さくなってしまった。おまけにキック処理もうまい。
サンウルブズの開幕からの3試合は、まさにこの部分でやられてしまった感がある。サンウルブスのパフォーマンスは決して悪くはなかった。しかし相手を上回れる部分が少なかったのが敗因だ。
これからの課題は、ひとつはディフェンス力を継続して向上させること。一対一でのタックルの精度を上げるのはもちろん、組織ディフェンスではコミュニケーションを怠らず、決め事をしっかり守る、肉弾戦で倒れた選手はサントリーのように2秒以内に立ち上がることを義務付ける、などがあげられよう。そしてアタックに関してはブレイクダウンからの球出しをもっと早くできるようにフィットネスを強化する、セットプレーの安定させ、エディ・ジャパンのときのようにスクラムを武器にできるようにすることなどが必要だ。
地力は確実に上がっている。しかし他のチームも過去より強くなっている。この差をしっかりと認識して、それを埋めるための継続的努力が求められる。
しかし、それらを裏付けるフィジカル、フィットネスを鍛える時間がシーズンを通して短いことが最も大きな課題ではないだろうか。
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