オーストラリア戦を終えて
30-63
大敗だった。9トライも取られてしまった。
後半は日本も多くを得点し、終了間際のトライで締めくくれたので得点差ほどの落胆は感じなかった人も多かったようであるが、すでに勝負が決まった後のこと。
見ごたえをなくしたのはやはりディフェンスである。
日本代表は素早く前に上がる新しいディフェンスを構築中であるが、オーストラリアのディフェンスの方が明らかに早かった。日本がラインにボールを回せば、ボールを受けようとする選手に、ボールをキャッチするやいなやタックルに入られる。もう目の前に来ているのである。日本のやろうとしているディフェンスのお手本をオーストラリアに見せられているようだった。
また、このディフェンスを機能させるには一人目のタックラーが確実に相手を止める(倒せないまでも前進を食い止める)ことをしなければならないが、アンストラクチャーな場面では外されることがしばしば。
『一対一のタックルが決まらない』課題はまだ解消されていない。
そのような劣勢の中で相手と互して戦うには、規律を守り、つまらない反則を犯さないようにしなければならない。特に日本がチャンスの場面でのミスは数少ない得点の機会を逃す。スクラムではアーリーエンゲージのペナルティで自陣22m内側に攻め込まれてピンチを招き(その後トライされる)、ゴール前ではタックルされた後そのまま回転してボールを保持しつづけノットリリースザボールを取られた。
そして、何よりも2015年ワールドカップで活躍したエディ・ジャパン時と比べるとフィットネス(持久力)が明らかに足りない。足が止まっている場面も少なからず見られた。身体の大きな相手と体を激しくぶつけ合い、強烈なタックルをし続けるには相当の持久力が必要となる。これはマラソンやサッカーなどの持久力とは違う。身体の小さな日本チームの選手は、大きな外国人チームと対戦する場合はより多くの持久力が必要となる。9月に行われたNDS(日本代表候補)のキャンプで行われたフィットネステストでは強豪国と比べ平均で30%も劣る結果だったようだ。これでは戦う前に負けている。ラグビーをプレイする基盤部分を一刻も早く強化して初めてその先にある戦術や個々のスキルそしてプレイの精度が生きてくる。ただフィットネス強化は相応の時間がかかる。本番まで既に2年を切っている。選手、スタッフは一日一日を無駄にしないで、かつ計画的にゴールを目指してもらいたい。一方良かった点もある。ブレイクダウンの攻防は前回の世界選抜戦よりは格段によくなっていた。ラインアウトはまだ不安が多いがスクラムは大分安定した。メンタル面も最後まで集中力を切らさず戦えた。オーストラリアに比べて経験の浅い選手が多かったが、それをさほど感じさせなかった。日本は今シーズン初めてのテストマッチであるが、オーストラリアは南半球ラグビーチャンピオンシップ6試合を戦い抜いてきたばかりである。ランキング3位と11位の差を考えれば決して悪い内容ではなかったと言える。この後のトンガ戦、フランス戦ではチームとして成長した姿を期待したい。
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