キックは4種類ある
ラグビーのキックには以下の4種類あり、目的やルールによって使い分けられます。これを知っておくとラグビー観戦がより面白くなります。
1.パントキック
手から放したボールを直接足の甲で蹴るキック。試合中最も多く使われるキックです。ドロップキック(後述)よりもコントロールしやすく、相手チームの頭越しにボールを運べるため、グラバーキック(後述)のように相手に邪魔されることがなく、相手のディフェンスの薄いスペースに蹴りこめば効果的に陣地に侵入することができます。また、相手チームがペナルティを犯したときや、自陣22mラインより内側から蹴る場合は、蹴りだしたボールが直接タッチラインを割れば(越えれば)、その地点からのラインアウトとなり、キックだけで大きく前進することができます。
これらは距離を稼ぐロングキックですが、短いショートパントもよく使われます。ボールを持って攻撃側が走っているとき、対面のディフェンスの頭を越える程度の短いパントキックを蹴り、自分の蹴ったボールを追いかけてそのまま自分でキャッチして前進したり、距離はださずに空中高くハイパントを蹴って敵と味方でボールキャッチを競り合わせる(コンテストキックという)こともあります。
相手チームがキャッチしたとしてもすぐにタックルに入れるため、ターンオーバーできる可能性があり、そこでボールを奪えれば攻撃を有利にできます(アンストラクチャーな状態を作り出せます)。
他にはラックからでたボールをスクラムハーフ(SH)がすぐさま蹴りこむ(ボックスキック)ときもパントキックが使われます。
そして“キックパス”のキックもパントキックです。大外から走りこんでくる選手(WTB)がちょうどキャッチできる位置に落とします。パントキックの中でも最も精度が求められるキックです。このようにパントキックは戦略的に使われるため、飛距離、滞空時間、高さなどをコントロールできる高い技術が必要です。
2.ドロップキック
ボールを一度地面に落としてバウンドさせてから蹴るキック。 キックオフ、ドロップアウト時に試合再開(開始)の方法として使われるほか、得点するためのドロップゴール、トライ後のコンバージョンゴールの時に使います。トライ後のコンバージョンキックはドロップキック、プレースキックのどちらでも構いませんが、正確性の高いプレースキックで蹴るのが普通です。ただし時間がなくて攻撃側が急ぐ場合や、試合時間が短い7人制ではドロップキックでコンバージョンゴールを狙います。
3.グラバーキック
野球でいえばゴロです。ボールを地面を這うように転がすキック。攻撃(アタック)の際、相手ディフェンスの裏(うしろ)に出るために蹴ることが多いです。
ゴール前で攻める際に相手ディフェンスが固い場合などグラバーキックをしてインゴールで抑えてトライを奪うシーンはその代表です。但し、ボールが楕円形のためコントロールするのは難しいキックです。
4.プレースキック
ボールを地面に置いてから助走をつけて蹴るキック。キックの精度(蹴りたい方向に蹴りたい距離がでる)が最も高いキックです。現在はキックティー(台座)の上にポールを立てて蹴ります(土を盛ってボールを立てても可)。トライ後のコンバージョンゴールやペナルティでゴールを狙う際に使います。現在は得点するためにしか使われないキックですが、以前はキックオフもプレースキックから始めていました。
その他
- オフサイド
- トライはゴールポストを目指す
- 密集には名前がある
- タックルは勇気の象徴
- ラインアウトは空中戦
- ラグビーと規律
- キックは飛び道具
- ハイパントキャッチは勇気の勝負
- インターセプトは追いつけない
- レフリーは司会者
- ジャッカルは瞬間技
- F=mα
- セットプレーは攻撃のカナメ
- スクラム組もうぜ!
- ラインアウトとモール
- オフロードパスは体幹の強さとボディバランス
- フェーズを重ねる
- フェアキャッチはピンチを救う
- ドロップアウトと5mスクラム
- 反則はレフリーのジェスチャーで
- ブレイクダウンの攻防
- ストラクチャーとアンストラクチャー
- うっかりオブストラクション
- HIAは選手を守る
- “スタッツ”はプレーの成績表
- タックルはひとつじゃない