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カウントダウンタイマー

J・ジョセフHCに一言

48戦32勝1分け15敗 勝率68%
これはエディ・ジャパンのテストマッチの通算成績である。
一方、2年目のジョセフ・ジャパンの成績は12戦6勝6敗 勝率50%
エディ・ジャパンの2年目の成績は23戦15勝8敗 勝率65%
この中には2度のアジア5ヵ国対抗4試合が含まれているため、1回だけのジョセフ・ジャパンとの公平性からエディ・ジャパンから4試合分を除くと19戦11勝8敗 勝率61%
ジョセフ・ジャパンがこのあとのトンガ、フランス戦を連勝しても14戦8勝6敗 勝率57%で追いつかない。対戦相手をみても、エディ・ジャパンは最初の2年間に格上のウェールズ(2試合)、フィジー(2試合)、ニュージーランド、スコットランドと対戦しており、ジョセフ・ジャパンがアルゼンチン、ウェールズ、フィジー、アイルランド(2試合)、オーストラリア、フランスと対戦するのと大きな差はない。
この数字を見る限り、ジョセフ・ジャパンはエディ・ジャパンより明らかに劣っている。
また、エディ・ジャパンは『世界一のフィットネス』、『世界一のアタッキングラグビー』をスローガンに掲げ、4年間一貫した強化に取り組んできた。強化内容も計画的であった。例えば1年目はフィットネス強化(走りこむ):【成果】ルーマニア、グルジアにアウェイで勝利(ヨーロッパで初勝利)、
2年目はストレングス強化(体を強く、大きくすること):【成果】ウェールズ戦勝利、3年目は、ボール獲得のためのスクラムとラインアウトの強化:【成果】テストマッチ11連勝など、結果を出してきた。それに比べてジョセフ・ジャパンは、『キックを効果的に使い、アンストラクチャーな状態からアタックを仕掛ける』ことを戦術の柱に据えてきたが、それを支える豊富な運動量、素早いディフェンス、強力なタックルなどのベースとなるものの強化は、2年目の現在まだ必要なレベルに達しているとは言い難い。もちろんエディ・ジャパンの時とは状況がことなり、サンウルブズのスーパーラグビー参戦でエディ・ジャパンの時のように代表の長期合宿ができなかったことで思うように強化できなかった点はあろうかと思う。しかし、やはり代表ヘッドコーチは『結果がすべて』だと思う。ちなみにエディ・ジョーンズは“プロコーチは1年で勝てなければ次の契約はない”という、ある意味では自分に厳しい考えを持つ。どのような状況であろうと、プロコーチは結果に責任を持たなければならない。今の日本代表をみていると、今後、強豪国に“善戦”することはあるかもしれないが、“勝ち切る”ことが見えてこない。思考錯誤はつきものだが、“こうすれば勝てるかもしれない”ではなく、“こうすれば強い相手に対しても勝ちきれる”対策を計画的に実行しなければならない。
エディ・ジョーンズを何度も引き合いに出すが、彼は「練習というものは、逆算して計画されるべきもの。チームをどうやって勝たせるかを決めたら、そのための最善の方法、環境を事前に計画していく」という考えの持ち主だった。そしてそれを“有言実行”した類まれな人物であった。エディのまねをしろとは言わないが、エディ・ジャパンは期待してみていられた。スクラムは試合の度にどんどん強くなっていった。ラインアウトも安定した。『世界一のアタッキングラグビー』のベースとなるポゼッションは明らかに多くなった。そしてワールドカップ前には手の内を見せないしたたかさもあった。ワールドカップで結果を出すことがゴールであり、そこにピークを持っていくように強化策は組み立てられていた。相手チームのことも十分研究し、実力で勝てない相手には奇策を使ってでも対抗する。2015年のW杯では格上の相手をいかにパニック状態に陥れて彼らに普段どおりのプレーをさせないようにした。そして規律を守る。規律を守っていけば相手に流れを渡すことはない。エディ・ジャパンは“勝つため”にありとあらゆることを考え、チームに取り入れた。それでいてチームとしての一貫性はぶれない。
ジョセフ・ジャパンが期待を持って応援できるようになってほしいと願っているからこそ、今の状況に危機感を覚える。
来シーズンからジェイミー・ジョセフがサンウルブズのヘッドコーチを兼ねることはとてもよいことだと思うが、兼任で“何をするか”が肝心である。
もう後がない3年目の飛躍を期待してやまない。